BFOとは?適応疾患・できるようになること・構造を義肢装具士が解説

BFO(Balanced Forearm Orthosis)は、筋力低下や麻痺によって腕を持ち上げることが難しい方に対し、前腕を支持することで腕の重さを補助する上肢装具です。

腕の重さが軽減されることで、食事や整容、更衣などの日常生活動作(ADL)が行いやすくなり、残っている筋力を有効に活用できるようになります。

BFOは「腕を固定する装具」ではなく、重力を補償しながら上肢の動きを支援する装具であり、神経筋疾患や頚髄損傷など、上肢機能が低下した方に広く使用されています。

しかし、「どのような患者に適応となるのか」「どんな動作ができるようになるのか」「どのような構造で腕を支えているのか」については、詳しく知る機会は多くありません。

本記事では、義肢装具士の視点からBFOの基本的な仕組みや適応疾患、期待できる効果、構造について分かりやすく解説します。

この記事で分かること

  • BFOとはどのような装具なのか
  • 適応となる疾患
  • BFOで可能になる日常生活動作
  • BFOの基本構造と仕組み

BFOとは

Balanced Forearm Orthosis(BFO)
Balanced Forearm Orthosis(BFO)

BFO(Balanced Forearm Orthosis:バランスド・フォアアーム・オーソシス)は、筋力低下や麻痺によって腕を十分に持ち上げることが困難な方に対して、前腕を支持しながら腕の重さを軽減する上肢装具です。

装具が腕の重量を補償することで、使用者は少ない筋力でも肩や肘を動かせるようになり、食事や整容動作などの日常生活動作(ADL)の改善が期待できます。

BFOは関節を固定する装具ではなく、重力による腕の重さを補助し、残存している筋力を最大限に活かすことを目的とした「重力補償装具(Gravity Balanced Orthosis)」です。

神経筋疾患や頚髄損傷など、上肢機能が低下した方の自立支援を目的として使用されることが多く、リハビリテーションや在宅生活の場面でも広く活用されています。

BFOの特徴

  • 腕の重さを補助する
  • 肩・肘の動きを助ける
  • 残存筋力を活かして動作を行える
  • 日常生活動作(ADL)の自立を支援する

適応疾患

BFOは腕を支えれば動かすことができる程度の筋力が残っている方に適応となります。

筋力低下によって腕を持ち上げることが難しくても、肘や手指の機能がある程度保たれている場合には、BFOによる重量補償によって実用的な上肢機能を獲得できることがあります。

  • 筋ジストロフィー
  • 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
  • 脊髄性筋萎縮症(SMA)
  • 頚髄損傷
  • 脳卒中片麻痺
  • 腕神経叢損傷
  • 腕神経麻痺
  • 多発性硬化症
  • その他の神経筋疾患

特に進行性の神経筋疾患では、肩関節周囲の筋力低下が進行すると腕の重さを支えられなくなります。その一方で、手指の巧緻運動や肘の屈伸機能が比較的保たれている場合も少なくありません。

BFOはそのような残存機能を活かし、できるだけ長く自分自身で生活動作を行えるよう支援することを目的として処方されます。

適応のポイント
  • 腕を支えれば自分で動かせる筋力が残っている
  • 肩・肘関節の可動域が保たれている
  • 座位姿勢が安定している
  • 日常生活動作の改善が期待できる

BFOを使用することでできるようになること

BFOは「腕を持ち上げること」ではなく、「自分の力で生活動作を行えるようにすること」を目的とした装具です。

腕の重量を補助することで、これまで途中で疲れてしまっていた動作や、腕が上がらずに行えなかった動作が可能になることがあります。

  • スプーンや箸を口まで運ぶ
  • コップを持ち上げる
  • 顔を洗う
  • 歯磨きをする
  • 髪をとかす
  • 髭を剃る・化粧をする
  • 書字や読書をする
  • パソコンやタブレットを操作する
  • スイッチやコミュニケーション機器を操作する

また、腕を支え続けるための負担が軽減されることで疲労しにくくなり、長時間にわたって活動を継続できるようになることも期待されます。

「できなかったことができるようになる」だけではなく、「できていたことを長く続けられる」という点もBFOの重要な役割です。

BFOの構造

BFOの構造
BFOの基本構造

BFOは前腕支持部(トラフ)、支柱、多軸リンク機構、重量補償機構、ベース部から構成されています。

前腕はトラフによって支持され、その重量をスプリングやガススプリング、カウンターバランスなどの機構が補助します。

これにより使用者は腕全体の重さを意識することなく、肩や肘の筋力だけで腕を動かしているような感覚で操作できるようになります。

また、支柱には複数の回転軸が設けられており、肩関節や肘関節の自然な運動に追従できるよう設計されています。

  • 前腕トラフ(Forearm Trough)
  • 前腕固定ベルト
  • 多軸リンク機構
  • 重量補償機構(スプリング・ガススプリングなど)
  • ベース部(机上設置型・車椅子取付型など)

重量補償の強さは使用者の筋力や腕の重量に合わせて調整されるため、必要以上に補助し過ぎず、残っている筋力を十分に活用できる設定が重要となります。

BFOは「固定する装具」ではなく、「動きを支援する装具」であるため、適切な調整によって使用者の能力を最大限に引き出すことが求められます。

まとめ

BFOは、腕の重さを補助することで残存筋力を活かし、上肢機能を支援する代表的な上肢装具です。

  • 腕の重量を補償し、少ない力でも上肢を動かせる
  • 神経筋疾患や頚髄損傷など幅広い疾患に適応される
  • 食事・整容・書字などADLの自立を支援できる
  • 固定する装具ではなく、動きを補助する装具である

BFOの効果を十分に発揮するためには、使用者の筋力や可動域、生活環境に応じて適切な補助力や支持位置を調整することが重要です。

また、残存機能を最大限に活かすためには、医師・作業療法士・理学療法士・義肢装具士など多職種が連携し、使用目的に合わせた評価と適合を行うことが求められます。

記事の参考文献について
本記事は、義肢装具士としての臨床経験および、 学会監修書籍・専門文献を参考に作成しています。
詳しくは 参考文献・制作方針 をご覧ください。
装具の使用について
治療用装具は、医師の診察・処方に基づき、症状や目的に応じて選択・調整されます。
BFOは適応や調整方法によって効果が大きく異なるため、必ず医師および義肢装具士の指導のもとで使用してください。
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